無接点充電といえば、qi(チー)が身近な存在になって久しいですが、無接点充電の方式としては、qi以外も存在するのか、どんなものがあるのか気になってしまい調べてみました。
まずは、無接点充電の代表格、qiについておさらいです。
qiとは
無接点充電の方式で、現時点では最も普及しているものでしょう。
名称の由来は中国語の「気」で、 中国語の発音記号 では、qiと書いて「チー」と読みます。
厚みのあるケースや、リングがついていたりすると充電できないので注意が必要です。
薄めのケースであればそのまま充電できるようなので、ケーブルの抜き差しをする手間や、ケーブルの断線を心配したりというストレスからも解放されます。
この手軽さから、今後リリースされるスマホやガジェット類は、qi対応の機種が増えてくると予想されます。
デメリットとしては、台に置いておく必要があるので、充電しながら手に持って操作することはできません。
現時点では無接点充電はqiの一人勝ち状態ですが、他の方式について書いていきます。
その他の無接点充電方式
QSCR
2017年にディズニーの研究施設が発表した「QSCR」は、部屋全体を充電エリアにする技術です。
部屋の中央に床から天井までつながったポールがあり、床、壁、天井すべてがシステムの一部として機能しています。
こちらの動画で実際の様子が見られます。
デモンストレーションは54m3の部屋で行われ、小さなコイルレシーバーに電力を供給できることが示されました。室内のほぼすべての位置で 40%〜95%の効率で電力が供給できました。
コイルレシーバーは磁場に対する角度によっては電力が供給されません。
気になる人体への影響については、指標値であるSAR値が部屋の中心から46cmの位置で、平均 0.06 W/kg、最大でも 0.08 W/kg でした。
この値がどのくらいなのかというと、日本での規制値は2.0W/kg であるので、これは大幅に下回っています。
ちなみにアメリカは日本より厳しく、1.6W/kgです。
それでもほとんど気にすることはないくらいの値です。
この技術が実用化されたら、駅や飲食店などで気づかないうちにスマホが充電されるという夢のような社会が訪れるでしょう。より電力を必要とするノートPCの充電も期待してしまいます。
小型化すればワイヤレスイヤホンやスマートウォッチ、補聴器などにも充電可能になるでしょう。
部屋の中央にポールがあることが実用化のネックになりそうですが、柱や壁の中に埋め込むことができれば、見た目もすっきりだななどと考えていたら、 ありました。
MQSCR
上記QSCRをベースに、 東京大学で研究段階ではあるもののマルチモード準静空洞共振器(Multimode Quasistatic Cavity Resonator)と呼ばれる送電機構を開発したそう。
(参考: https://www.akg.t.u-tokyo.ac.jp/archives/2334 )
これは、部屋の中央のポールがない状態でも給電可能となっています。
研究者の方々にはぜひ頑張っていただきたいですね。
Spansive
こちらはすでに製品化されています。
Spansiveは企業名で、qiを応用して、三角の充電スポットにスマートフォンを立てかけるスタイルの充電ステーションです。
こちらは置く場所がある程度自由で、台の上ならどこでもOK。
最大0.4インチ(約1cm)まで離れても大丈夫なので、分厚いケースが付いたままでも充電できるそうです。
最大6台充電可能(無接点4台 + USBポート2口)。
Source という製品名で販売されています。価格は、$189USD(2万円前後)。
対応機種は、qi対応の機種で、iPhone、Galaxyが載っています。
公式ページはこちら( https://www.spansive.com/ )。
まとめ
個人的には、レースゲームでよく見かける、光る道路の上を走るとチャージされる仕組み、あれが現実になってほしいですね。車はもちろん、スマホや色々なガジェットが街中や部屋で勝手に充電されている世界が訪れたら面白いなと思います。
Originally posted 2019-10-18 23:46:06.